
日本でうまくいかない子が、海外に行ってうまくいくわけがない。
アメリカ留学やボーディングスクールの話をすると、必ずと言っていいほどこう言われます。
まるで、学校が合わないのは本人の努力不足であるかのように。
でも私は、そうは思いません。
何をやってもうまくいかない時、変えられるのは
「自分」
「環境」
どちらかだけです。
そして日本の教育では、なぜかいつも「自分」を変えることばかりが求められる気がしています。
この記事では、息子とともにボーディングスクールという選択肢にたどり着いた実体験を通して、環境を変えるということについて考えてみたいと思います。

「まずは置かれた場所で頑張ろう」への違和感

日本には、「置かれた場所で咲きなさい」という言葉があります。
美しい言葉だと思います。
環境のせいにせず、今いる場所で努力することの尊さを教えてくれます。
でも私は、この言葉がすべての子どもに当てはまるとは思いません。
置かれた場所の土壌が、その子にまったく合っていないこともあるからです。
・自分を律せない子
・集団に馴染めない子
・不登校の子
は、日本では「努力不足」だと見なされがちです。
けれど、自分を変えようとする努力は、時にとても苦しく、大人になってから自分自身を見失うきっかけにさえなり得ると、私は感じています。
日本の学校で息子が「浮いていた」理由

うちの息子は、日本の教育の中でずっとうまくいきませんでした。
・保育園
・習い事
・学校
・塾
行く先々で、先生や周りの親御さんたちとの間に摩擦が生まれました。
興味があちこちに向いてしまい、感情表現も大きい息子は、集団の中でいつも「浮いて」しまう子でした。
理解して受け入れてくれる先生もいましたが、そうでないことの方が多く、なぜうまくいかないのか、親子ともにわからないまま過ごしていました。
今思えば、私自身も子どもの頃、同じような経験を重ねてきた気がします。
思い切って、アメリカのボーディングスクールに進学することにしました。そこで驚いたことが二つあります。
一つは、息子よりずっと自由奔放な子がたくさんいたこと。
息子が「特別浮いている」ことはなくなりました。そして先生たちの多くが、子どもとの関わり方を多角的に学んでいて、とても丁寧に息子を受け止めてくれました。
何より、一日中動き回り、
・授業
・部活動
・ボランティア
・生徒会
・国連クラブ
掛け持ちする息子のエネルギーは、この環境にぴったりはまっていたのです。
誰にでも気軽に話しかけ、おしゃべりが大好きな息子は、対話型・発表型の授業でも力を発揮できるようになりました。
もう一つ驚いたのは、アメリカでは転校がとても当たり前だということでした。
全米学力調査(NAEP)によると、小学4年生のおよそ3人に1人が、直近2年以内に一度は転校を経験しているというデータもあるほどです。
ボーディングスクールの多くは「continuous enrollment(継続在籍契約)」という制度を採っていて、毎年春に「来年度も続けるかどうか」を家庭側が選び直すタイミングが用意されています。
学校を離れるという選択が、退学や失敗としてではなく、進級の節目にある自然な選択肢のひとつとして制度に組み込まれているのです。
兄弟が別の学校に通っているから、というだけの理由で転校する家庭もありますし、学年を一つ戻したり進めたりすることも珍しくありません。
留学や転校という「環境を変える」という選択肢

日本では、学年を変えることはもちろん、学校を変えることさえ大きなハードルがあります。
受け入れてくれる学校は少なく、親自身が「転校=逃げ」と捉えて許せないことも少なくありません。
そうなると、子どもは環境に合わせて自分を変えるしかなくなります。
でも私は、これはとても危険なことだと感じています。
心理学の世界には「過剰適応」という言葉があります。
周囲の期待に応えようと、自分の気持ちや欲求を抑え込み、無理をして合わせ続けてしまう状態のことです。
手のかからない「良い子」ほど、実はこの過剰適応に陥りやすいと言われています。
厄介なのは、本人も周りも「頑張っている」としか見えないため、なかなか問題として気づかれにくいことです。
そしてこの合わせ方の癖は、子どもの頃だけで終わらず、大人になってからも同じパターンとして残ってしまうことがあると指摘されています。
就職や転職など環境が変わるたびに、また同じように無理をして合わせようとしてしまう。そうやって「本当の自分」がどこにあるのか、だんだんわからなくなっていく。
これは、私自身の実感とも重なるところがあります。
もちろん、多少無理をして環境に合わせる経験そのものが悪いわけではありません。
誰にでも、我慢が力になる場面はあると思います。
ただ、それが「合わない環境の中で、自分を否定し続けること」にまで及んでしまうと、話は別ではないでしょうか。
だからこそ、自分を変えるのではなく、ありのままの自分でいられる環境を探すという選択肢が、もっと当たり前にあってもいいのではないかと、私は考えています。
もちろん、これがすべての子どもに当てはまるとは思いません。
環境を変えることが簡単ではない事情もあるでしょうし、今いる場所で頑張ることが力になる子もいます。ケースバイケースだと思います。
ただ、環境を変えられる可能性があるのに、本人も周りも「まずは今の場所で頑張ろう」と決めつけてしまうのは、少し違うのではないかと感じています。
どこかで大きくつまずくことは、どこかで大きく花開くことの裏返しなのかもしれません。
子どもたちには、もっと自由であってほしいと思うのです。
選択肢を知ることから、はじめてみませんか
留学やボーディングスクールが、すべての子どもにとっての正解だとは思いません。
このシリーズで伝えたいのは、「留学を勧めたい」ということではなく、「子どもにはさまざまな選択肢がある」ということです。
/
・今いる場所で頑張ること
・環境を変えてみること
どちらも間違いではありません。
大切なのは、その選択肢が存在することを、親も子どもも知っていることだと思います。
もし、お子さんに今とは違う環境という選択肢があったら、あなたはどう考えますか。
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