不合格通知からの世界の崩れ落ち
合格発表の日。
スマホに届いた通知を開いた瞬間、目に飛び込んできたのは信じたくない一文でした。
“We regret to inform you…”
何度スクロールしても、どこにも「Congratulations」の文字は見当たりません。
あれほど信じていた第一志望校。
努力も想いも全部注ぎ込んで、親子で「きっと大丈夫」と信じて疑わなかった学校。
けれど、結果は「不合格」。
その瞬間、部屋の空気が止まったように感じました。
音が消え、世界が白黒に変わってしまったかのような感覚。
涙は出ませんでした。
出せなかった。
ただ、心の奥に大きな穴が開いたような虚無感だけが残りました。
私もワンダも、言葉を失って、ただそこに座っているしかありませんでした。
その日、私は出社しましたが、全身がどこか斜めを向いたまま、何をしても上の空。
同僚が何を話しているのかもよく分からず、記憶も断片的にしか残っていません。
自分の中に濃い雲が立ちこめているような、重たく灰色の一日でした。
泣きっ面に蜂――頼ったエージェントの冷たい対応
それでも「立ち止まってはいけない」と心を奮い立たせ、すぐに留学エージェントへ連絡をしました。
しかし返ってきた答えは、あまりにも冷たく無情なものでした。
「担当者は現在出張中です。戻りは1週間後になります。」
…え?
この大事な時に?
合否が出て、次の一手を考えなければならない今この瞬間に?
電話を切った後、怒りよりも先に虚しさが押し寄せました。
「あぁ、私、エージェント選びから間違えていたのかもしれない」
それまで「プロに任せていれば安心」と思い込んでいた自分。
けれど実際は、肝心な局面で誰もそばにいてくれない。
その現実に気づいたとき、無力感と孤独が全身を包みました。
女将との出会い
数日後。
そんな私を見かねて、母=ババ美ちゃんが声をかけてきました。
「知り合いの娘さんがお世話になったエージェントがあるんだけど、そこはすごく良かったって。
話だけでも聞いてみたら?」
半信半疑のまま、紹介された場所を訪ねてみることにしました。
胸の奥には不安と緊張が渦巻いていましたが、扉を開けた瞬間に感じたのは、不思議な安心感でした。
そこにいたのは、まるで旅館の女将さんのような、包み込むような優しさと揺るぎない貫禄を持った女性。
言葉遣いも姿勢も、どこか凛としていて、ただそこに座っているだけで人を落ち着かせる空気をまとっていました。
彼女は経験も実績も豊富で、何よりこちらの話をじっくり聞いてくれました。
「なるほどね、そういう経緯だったのね」と、一つひとつの言葉に頷きながら、丁寧に答えてくれる。
それまで出会った誰よりも、私たちの状況に寄り添ってくれる人でした。
無知を突きつけられた時間
女将の話を聞いているうちに、今まで自分たちが全く知らなかった事実が次々と明らかになりました。
「あぁ、そういう視点があったのか」
「それを知らないまま受験していたなんて…」
そして女将は、時に厳しい言葉も投げかけてきました。
「そんな準備じゃ、落ちても仕方ないわ。」
その言葉は心に突き刺さり、痛みを伴いました。
でも同時に、それは真実でもありました。
無知は怖い。知らなかったことが、結果を左右していたのだと改めて思い知らされました。

それでも差し伸べられた一筋の光
厳しい指摘のあと、女将は私たちの目をまっすぐ見て、静かに言いました。
「まだ間に合うかもしれません。」
その言葉は、どん底に沈んでいた心に差し込む光のようでした。
閉ざされたと思っていた道が、もう一度開けるかもしれない――そう信じる勇気を与えてくれたのです。
私たちは再び立ち上がることを決めました。
「もう一度挑戦しよう」
女将の言葉に背中を押されながら。
そして、この出会いがワンダにとって“運命の出会い”へとつながっていくことになるのです。




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